「警備を頼みたいけれど、どの会社に任せれば安心なのだろう」——そう感じたとき、判断のよりどころになるのが警備業法という法律です。名前は聞いたことがあっても、中身までは知らないという方がほとんどではないでしょうか。
この記事では、警備業法とは何かを、目的・認定制度・依頼者が確認したいポイントの3つに分けてやさしく整理します。専門用語には一言ずつ説明を添えていますので、はじめての方も安心して読み進めてください。
警備業法とは何か
警備業法とは、警備業(警備を仕事として行うこと)が正しく運営されるよう定めたルールです。守衛や警備員の仕事は、人の安全や大切な財産に直接かかわります。だからこそ、誰でも自由に営めるのではなく、一定の基準を満たした会社だけが行えるようになっています。
大きな考え方はシンプルで、「質の低い警備や信頼できない業者から、依頼者と社会を守る」ことにあります。警備は目に見える成果が分かりにくいサービスだからこそ、法律が最低限の品質と信頼のラインを引いている、とイメージすると分かりやすいでしょう。
警備業法が定める3つの柱
警備業法にはさまざまな決まりがありますが、依頼者の視点で押さえておきたいのは次の3つです。難しく考えず、「業者選びの安心材料」として捉えてください。
認定を受けた会社だけが営める
警備業を行うには、都道府県の公安委員会(警察の管理組織)の認定が必要です。過去の経歴などに一定の欠格事由がないことが条件で、無認定の営業は認められていません。
警備員への教育が義務づけられている
警備会社は、警備員に対して法律や現場対応の教育を行う義務があります。新任時と、その後も定期的に研修を実施することが求められています。
3つ目の柱が、依頼者にとってもっとも身近な「契約前の書面交付」です。警備会社は契約にあたって、業務の内容や料金の考え方などを記した書面をあらかじめ交付し、説明することになっています。口約束だけで進まないための、依頼者を守る仕組みです。
認定制度をやさしく理解する
認定制度は、警備業法の中心といえる仕組みです。「認定」とは、公安委員会が「この会社は警備業を営んでよい」と認めることを指します。認定を受けた会社には認定証が交付され、認定番号が割り当てられます。
- 01認定の申請
会社が公安委員会に申請します。役員などに欠格事由がないかなどが確認されます。
- 02審査と認定
基準を満たすと認定を受け、認定証と認定番号が交付されます。これが正規の業者である証になります。
- 03更新と維持
認定は一度受けたら終わりではなく、期間ごとの更新や、体制の維持が求められます。
依頼者の立場では、細かい審査の中身まで知る必要はありません。大切なのは「認定を受けているか」を確認できるという点です。認定番号は、正規の業者かどうかを見分ける分かりやすい手がかりになります。認定番号の見方や、認定のあとの手続きについては警備業の認定・許可とは何かで詳しく解説しています。
警備業法で決まっている「警備員にできないこと」
依頼する側が知っておきたいのが、警備員にはできないことも法律で決まっているという点です。これを知らずに依頼すると、「頼んだのにやってくれない」という行き違いが起きます。
| 決まりの中身 | 具体的には | 依頼者として気をつけたいこと |
|---|---|---|
| 特別な権限を持たない | 警察官のような職務質問・交通の取り締まり・取調べはできない | 不審な人への対応は「声かけと通報」が基本と考える |
| 他人の権利や自由を侵害しない | 持ち物を強制的に調べる、力ずくで退去させる、といったことはできない | 所持品の確認などは、同意と施設の規則にもとづく方法で行う |
| 正当な活動に干渉しない | 労働組合の活動や、正当な集会などに干渉してはならない | 警備の目的を、施設や人の安全を守ることに限る |
| 警察官と区別できる服装 | 制服は警察官と見間違えられない物にし、公安委員会に届け出る | 警察官のように見せる演出を求めない |
| 護身用具は決められた物だけ | 持てる物や大きさが決まっており、業務によっては持てない | 「威圧のため」に装備を増やすよう求めない |
法人が警備を依頼するときの流れと書面
会社や施設として警備を依頼するときは、警備業法にもとづいて、決まった書面のやりとりがあります。流れを知っておくと、どこで何を確かめればよいかが分かります。
- 01相談・現地の確認
守りたい場所や時間、困っていることを伝え、必要に応じて現地を見てもらいます。
- 02契約前の書面による説明
警備の内容や料金などを記した書面を受け取り、説明を受けます。分からない点はここで質問します。
- 03契約と、契約後の書面
契約を結んだあと、契約の内容を記した書面を受け取ります。契約前の説明と食い違いがないか確かめます。
- 04警備の実施と報告
決めた内容で警備が行われ、報告を受けます。変えたい点があれば、書面の内容も含めて見直します。
警備業法では、警備会社が依頼者からの苦情に適切に対応するよう努めることも定められています。気になることがあれば、まずは契約した警備会社の窓口に伝えてください。依頼したい警備がどの区分にあたるかは、1号〜4号警備業務とは?種類をやさしく解説で確認できます。警備員の権限や法令をもっと詳しく知りたい方は、警備員 基本教育の第1章・第3章も参考になります。
依頼者が契約前に確認したいポイント
ここまでを踏まえ、実際に警備を依頼するときに確認しておくと安心なポイントを表にまとめます。すべてを完璧にそろえる必要はありませんが、目安として役立ちます。
| 確認したいこと | 見るポイント | なぜ大切か |
|---|---|---|
| 認定の有無 | 認定番号・認定証 | 正規の業者かを見分けるため |
| 契約前の書面 | 業務内容・料金の考え方の説明 | 口約束によるトラブルを防ぐため |
| 教育・研修体制 | 新任・定期研修の有無 | 現場の警備の質に直結するため |
| 対応エリア・実績 | 地域での経験 | 地域特有の事情に対応できるため |
とくに札幌・北海道では、冬季の積雪や路面凍結、雪まつりなどの地域イベントといった、この土地ならではの事情があります。除雪動線を踏まえた交通誘導や、凍結による転倒事故への配慮など、地域の気候と行事を理解している会社かどうかは、実際の安全に大きく影響します。対応エリアや実績を確認する際は、こうした地域対応力もあわせて見ておくと安心です。
法人での施設管理やイベント対応をお考えの方は法人向け警備サービス、個人でのご相談は個人向け警備・身辺警護もご覧いただけます。制度や依頼に関する疑問はよくある質問にもまとめています。
まとめ|基礎を知れば依頼はもっと安心になる
警備業法は、依頼者と社会の安全を守るための法律です。ポイントは、「認定を受けた会社だけが営める」「警備員への教育が義務」「契約前に書面で説明される」の3つ。これらを知っておくだけで、信頼できる警備会社を見分けやすくなります。
札幌で警備をお考えの方は、まず現場の状況をお聞かせください。認定や体制についてのご質問も含め、お問い合わせから丁寧にご案内します。ほかの記事もあわせて読みたい方はコラム一覧もどうぞ。
よくある質問
Q.警備業法とはどんな法律ですか?
警備業の適正な運営を確保し、警備業務の依頼者や社会の安全を守ることを目的とした法律です。誰でも自由に警備業を営めるわけではなく、公安委員会の認定を受けた会社だけが業務を行えます。依頼者を守るためのルールが定められている点が特徴です。
Q.依頼する警備会社が認定を受けているか確認できますか?
できます。認定を受けた警備会社には認定証があり、認定番号が交付されています。見積りや契約の際に認定番号を尋ねたり、契約前に交付される書面を確認したりすることで、正規の業者かどうかを判断する手がかりになります。不明な点は遠慮なくお問い合わせください。
Q.警備業法を知らないと依頼者に不利益はありますか?
基礎を知っておくと、認定の有無や契約書面の確認など、安心して依頼するための判断がしやすくなります。無認定の業者や不十分な体制の業者を避けやすくなり、トラブルの予防につながります。細かい条文まで覚える必要はなく、要点を押さえておけば十分です。
Q.依頼する側が、警備員に頼んではいけないことはありますか?
あります。警備業法で、警備員は特別な権限を持たないこと、他人の権利や自由を侵害してはならないことが定められています。そのため、来訪者の持ち物を強制的に調べる、道路を通る車を命令して止める、退去を力ずくで迫るといった対応は、依頼されても行えません。困りごとがあるときは、法律の範囲でできる方法を警備会社と一緒に考えてください。
Q.法人で警備を依頼すると、どんな書面を受け取りますか?
警備業法で、警備会社は契約を結ぶ前に業務の内容などを説明した書面を、契約を結んだあとにも契約の内容を記した書面を、依頼者に渡すことが定められています。警備する場所や時間、警備員の人数、料金、事故が起きたときの責任の扱いなどが書かれているかを確かめ、分からない点は契約前に質問しておきましょう。
