「警備員になるには、いきなり現場に立つの?」「研修って何を習うの?」——警備の仕事に関心を持った方や、警備会社への依頼を検討している方から、よくいただく疑問です。実は警備員は、法律で決められた研修を受けてからでなければ現場に立てません。
この記事では、警備員の**法定研修(新任教育・現任教育)**の中身と、その研修が警備の品質にどう直結するのかを、札幌の現場目線でわかりやすく整理します。
警備員の研修は「法律の義務」
警備員の研修は、会社の任意ではなく警備業法で定められた義務です。人の生命・身体・財産を守る仕事だからこそ、知識と対応力を身につけてから現場に出る仕組みになっています。
研修は大きく2種類に分かれます。
新任教育
新たに警備業務に就く方が、現場に出る前に受ける研修です。目安として合計20時間以上とされています。
現任教育
すでに働いている警備員が、**毎年度(4月〜翌3月)**継続して受ける研修です。目安として年10時間以上とされています。
新任教育20時間で何を学ぶのか
新任教育は、大きく「基本教育」と「業務別教育」の2本柱で構成されます。
- 基本教育:どの警備員にも共通して必要な土台。警備業法や関係法令、人権、護身の基本、事故発生時の連絡・報告、応急手当(心肺蘇生やAEDの扱いなど)を学びます。
- 業務別教育:担当する仕事に応じた専門知識。施設警備なら出入管理や巡回、交通誘導警備なら車両・歩行者の安全な誘導方法など、現場ごとに内容が変わります。
各号の警備業務の違いについては、警備サービス一覧もあわせてご覧いただくとイメージしやすくなります。
新任教育20時間の内容を一覧で見る
「20時間で具体的に何を習うのか」を、主な項目ごとに整理しました。教える順番や時間の配分は会社ごとの教育計画で決めますが、学ぶ中身の骨組みは共通です。
| 区分 | 主な学習項目 | 学ぶことの例 |
|---|---|---|
| 基本教育 | 警備業務の基本原則 | 警備員には特別な権限がないこと、個人の権利や自由を侵さないこと |
| 基本教育 | 警備業法と関係する法令 | 警備業法、憲法(人権)、刑法・刑事訴訟法(現行犯逮捕の考え方)、遺失物法など |
| 基本教育 | 事故が起きたときの対応 | 警察・消防への通報、会社への連絡、現場をそのまま残す方法 |
| 基本教育 | 護身と応急手当 | 身を守る基本の動き、心肺蘇生やAEDの使い方 |
| 業務別教育(施設) | 施設警備の実務 | 出入管理、巡回、防災設備の扱い、火災や急病人への対応 |
| 業務別教育(交通・雑踏) | 誘導の実務 | 旗や誘導灯の合図、車両と歩行者の誘導、人の流れの整理 |
| 業務別教育(運搬・警護) | 運搬警備・身辺警護の実務 | 移動中の警戒、襲われたときの対応、警護の立ち位置 |
当社が新任教育・現任教育で使っている基本教育のテキストは、警備員 基本教育|警備業法第21条準拠・11章131項目で学ぶで中身を公開しています。どんなことを学ぶのか、具体的に知りたい方はあわせてご覧ください。
現任教育10時間が「品質の維持」を支える
一度研修を受ければ終わり、ではありません。現任教育は、身につけた知識と対応力が古くならないように毎年アップデートするためのものです。
法改正への対応、過去のヒヤリ・ハット事例の共有、応急手当の再確認など、現場で起きた学びを全員に行き渡らせる役割を持ちます。研修が続くからこそ、警備の質が「その日の担当者次第」でぶれにくくなるのです。
| 区分 | 主な対象 | 実施のタイミング | ねらい |
|---|---|---|---|
| 新任教育 | これから就く方 | 従事前 | 現場に立つ土台づくり |
| 現任教育 | 就業中の方 | 毎年度 | 知識の更新・品質の維持 |
現任教育とは(ひとことで)
現任教育とは、すでに警備員として働いている人が、毎年度(4月1日〜翌年3月31日)受ける法定の研修です。時間は年度ごとに10時間以上が目安で、新任教育と同じく基本教育と業務別教育で組み立てます。
中身は、次のような「学び直し」が中心です。
- 法令の改正点や、警備員の権限の範囲の再確認
- 自社や業界で起きた事故、ヒヤリとした事例の共有と対策
- 心肺蘇生・AEDなど、応急手当の手順の再訓練
- 担当している現場の手順や、合図・連絡方法の見直し
新任教育が「現場に立つための土台」なら、現任教育は「身につけたことを古くしないための点検」です。何年働いている人でも、毎年度受け続けます。
札幌・北海道ならではの研修ポイント
札幌をはじめとする北海道の現場では、季節ごとの路面や天候の変化が警備の質を大きく左右します。研修でも地域特有の状況を織り込むことが欠かせません。
- 滑りやすい路面での転倒防止と、来場者・歩行者への注意喚起
- 作業車両と歩行者が交錯する場面での誘導
- 季節の大きなイベントなど、時期で人出が大きく変わる雑踏への備え
- 季節に合わせた体調管理(夏場の熱中症対策など)
研修の流れをステップで確認
未経験の方が現場に立つまでの、おおまかな流れです。
- 01採用・確認
警備員になれない事由(欠格事由)に当たらないかを、書類で確認します。
- 02新任教育(基本+業務別)
現場に出る前に、法令・人権・応急手当と、担当業務ごとの実務を学びます。
- 03現場デビュー
先輩とともに実際の現場へ。学んだ内容を実践で確かめます。
- 04現任教育の継続
毎年度、研修で知識を更新し続けます。
研修がきちんと行われている会社の見分け方
研修は法律の義務ですが、その中身や実際の運用には会社ごとに差が出ます。依頼する側も、働く側も、次の点を確かめると体制が見えてきます。
- 01教育を管理する人がいるか
警備会社は、警備員指導教育責任者という資格を持つ人を営業所ごとに選任し、教育を管理することが法律で定められています。誰が教育を見ているのかを聞いてみましょう。
- 02教育の記録を残しているか
いつ、誰に、何時間、どんな教育をしたかは記録に残すことが求められています。記録があれば、研修が形だけでないことの裏づけになります。
- 03座学だけで終わっていないか
応急手当や誘導の合図は、実際に体を動かして覚えるものです。実技の時間や、先輩と一緒に現場に出る期間があるかを確認します。
- 04地域の事情を教えているか
札幌なら滑りやすい路面や作業車両の多い現場での動き方など、地域ならではの注意点を研修に入れているかも見どころです。
警備会社の選び方全体については、警備会社の選び方7つのチェックポイントもあわせてご覧ください。
研修は「安心して任せられる」の裏づけ
研修は警備員のためだけのものではありません。依頼する側にとっても、きちんと教育された警備員が来るという安心の裏づけになります。警備会社を選ぶときは、どんな研修体制をとっているかを確認するのがおすすめです。
- 警備の依頼を検討中の方は、法人向け警備サービスや個人向け警備・身辺警護をご覧ください。
- 警備員として働くことに関心のある方は、採用情報で研修の考え方も含めてご案内しています。
研修体制や具体的な進め方について詳しく知りたい方は、お問い合わせからお気軽にご相談ください。現場の条件やご希望に合わせて、ていねいにご説明いたします。
よくある質問
Q.警備員の研修は誰でも受けなければいけませんか?
はい。警備業法により、新たに警備業務に就く方には従事前の新任教育(一般に20時間以上)が義務づけられています。就業中の方も毎年度の現任教育(一般に10時間以上)を受ける必要があり、未経験者でも研修を経てから現場に立つ仕組みです。
Q.研修は無給ですか、費用はかかりますか?
法定研修は業務の一環として実施されるため、一般に会社が実施し受講者に費用負担を求めない形が基本です。研修中の賃金の扱いは各社の規定によります。詳しくは応募先や当社の採用窓口へご確認ください。
Q.過去に警備経験があると研修時間は短くなりますか?
一定の要件を満たす方には教育時間の減免規定があります。目安として、直近に一定期間の警備員経験がある方や有資格者などが対象です。適用の可否は経歴により変わるため、個別にご相談ください。
Q.警備の新任教育20時間ではどんな内容を学びますか?
どの警備員にも共通の「基本教育」と、担当する仕事ごとの「業務別教育」を学びます。基本教育では、警備員に特別な権限がないことなどの基本原則、警備業法や刑法・刑事訴訟法などの関係法令、事故が起きたときの通報・連絡や現場の保存、護身の方法、心肺蘇生やAEDの応急手当などを学びます。業務別教育では、施設警備なら出入管理や巡回、交通誘導なら合図の出し方や車両・歩行者の誘導を学びます。
Q.現任教育とは何ですか?
すでに警備員として働いている人が、毎年度(4月1日〜翌年3月31日)受ける法定の研修です。時間は年度ごとに10時間以上が目安です。法令の改正点、現場で起きた事故やヒヤリとした事例、応急手当の再確認などを学び直し、身につけた知識を古くしないことが目的です。
